風倒しが良い社風って何?自由のなかった正社員時代を振り返る

 

風通しが良いってなんだろう?

 

昨日、久しぶりに以前働いていた職場の手伝いに行って、そう思った。

毎週のように「待たせすぎだ」というクレームがある。「もう待てない」と怒って帰ってしまうお客さんも少なくない。

 

でも、わたしたちスタッフは「混むのが嫌なら土日に来るな。わたしたちだってこんなに予約取りたくないけど、それは本部からの指示なんだよ。仕方ないじゃん」なんて思いながら働いていた。

だからクレームが入ったところで予約を取る数を減らすなんてしない。だから次の日もまた、同じクレームが入る。

 

「どれだけ待たせるの?」と。

 

そんな環境で働いていたから感覚が麻痺していたのかもしれない。

「待たせているのはわたしたちのせいじゃない」

そう思ってさえいた。

子供相手だから待たせたらダメ。でもそれは無理。

 

わたしが正社員として働いていたのは写真スタジオ。子供の七五三から二十歳の成人式、マタニティフォトまで撮影している写真館だ。

撮影はもちろん予約制。繁忙期は七五三の撮影が増える9月から11月の終わりまで。この時期だけは予約枠も増えるのでお客さんの数もすごいことになる。

閑散期が1月2月なのだが、繁忙期と閑散期の予約数の差は約2倍。繁忙期は単価が上がるので売り上げは3倍以上。

 

繁忙期にはそれだけ予約を取るのに、店舗のスタッフ数は倍に増えるわけではないので、必然的にお客さんの待ち時間が増える。

簡単に言うと、スタッフの手が足りないくらい店内にお客さんがいる状態で、お客さんは放置状態。ひたすら声をかけられるまで待つしかない。

 

そしてこれが一番の難点なのだが、写真スタジオでは「子供」が主役なのである。子供たちの集中力は大人が考えている以上に短い。

1時間じっとしているなんて不可能に近い。30分でも飽きる。2時間も経てばぐずる。

 

それなのに、わたしたちはお客さんを待たせている。子供の飽き性を理解していながらも。

 

「だって仕方ないじゃん。“上”がもっと予約取れっていうんだから」

 

そうやって思いながらいつまで経っても減らないお客さんを撮り続けていた。

 

 待たせてしまうのは結局誰が悪い?スタッフ?本部?

 

結局待たせてしまう問題は誰が悪いのか。

お客さんから見たら、わたしの会社に属している全ての人たちが悪い。

わたしたちスタッフから見たら、予約を増やせという本部が悪い。

本部から見たら、素早く行動ができていない店舗スタッフが悪い。

 

結局、みんな責任の押し付け合いだ。

 

店舗スタッフの立場からいうと、ちゃんと毎日誰がどのポジションでどう動くか決めているし、待たせないことを前提に動いているし、それでも待たせてしまってるのだから予約を詰め込めと言ってくる本部が悪いと思っている。

それに対して本部は「あなたたちスタッフの接客が悪いから待たせてしまうしクレームも出るんだよ」と言う。

 

これって間違ってない?

努力してなくて本部から文句言われるなら理解できるけど、毎日毎日お客さんを待たせないように必死に接客してるし、問題点あれば改善してきた。

それでも待たせてしまう。

これは完全に予約の取りすぎじゃないの?

 

あなたたち本部がこんな予約取れって言ってくるから従ってるのに、努力が足りないと言ってくる。

 

だから冒頭で述べたように「待たせているのはわたしたちのせいじゃない」と思ってしまう。

 

毎年書かされる意味のないレポート。自由ってなんだ?

 

ここまで読んで、みなさんは当然の疑問を持つだろう。

 

「本部に現状を説明すれば、予約増やさなくてもよくなるんじゃないの?」

 

わたしたちももちろんそう思っている。

店舗スタッフを統括する上長にもそう伝えている。

 

ただ、そこでわたしたちの意見は握りつぶされる。

つまり店舗所属でない社員は、全員敵だ。スタッフの努力も声も無視。

 

「もっとがんばれるでしょ?」

 

そう言っておしまいだ。

ただ、唯一社長に直接、現場の声を届けられる日が年に一度だけある。

それが年に一度全社員が書いている「社長への質問状」という名のレポートだ。

 

このレポートだけは、社長に直接届くし繁忙期にお客さん待たせてしまう問題について書くぞ!

 

と意気込んだのも新卒の時だけ。

翌年からはただの面倒なレポートに変わった。

 

なぜか。

社長への質問状のはずなのに、社長に届く前に直属の上司、その上司、さらにその上の上長から三度添削が入るからだ。

 

 

阿呆らしいと思いません?なんでも自由に書いていいと言われたはずなのに、添削されて返ってくる。

周りの同期に聞いても、誰一人繁忙期の待たせてしまう問題を書いて許可された人がいない。

 

ただの時間の無駄。紙の無駄。

なにが「社長への質問状」だよ。許可された文章しか書けないなんて、許可された質問しかできないなんて、なんの意味がある?

 

風通しの良い社風ってなんだろう。わたしにはわからない

 

「わたしたちの会社はとても風通しが良くて、なんでも意見を言い合える社風です」

 

会社説明会でそう聞いた。

よくもまぁ、堂々と嘘を言えたもんだ。あるいは、風通しの意味をわかっていないのか。

 

現実は、現場スタッフの飼い殺し。

残業すれば「あなたたちの技量が足りない」と言い、クレームを出したら「接客態度が悪いんじゃない?」と言われ、社長にこれを質問したいと言えば「それはできない」と言う。

 

この会社のどの辺が風通しの良い社風なのかを教えてほしい。

わたしには理解できない。

 

クレーム出してしまうほど予約を詰め込み、ご飯も食べれず、トイレにも行けず、残業までさせて、それでももっとがんばれるでしょって言ってくる会社。

 

だからわたしはこの会社が嫌いだ。

大嫌いだ。

 

 

辞めて正解だったと思っている。でも本当はもっともっと文句を言ってから辞めたかった。

あなたたちは間違っている。もっと現場を見て。

そう言ってから辞めたら良かった。

 

それだけは、わたしの後悔。

 

 

結局のところ、会社に良い風なんて吹いていない。吹いているのは悪循環という風だけ。それは外には吹き抜けていかないから、どんどん溜まっていく。

 

「子供の一生に一度のお祝いを写真という形に残す仕事」

 

そんなステキな仕事をしている会社なのに、現実は悲しい。

 

正社員を辞めて部外者となった今、いつか誰かが、わたしの代わりに中から声を上げてくれることを祈るばかりだ。

 

 

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